こんにちは!ミユ(@miyuwinomics)です。
更新がちょっと遅くなりましたが、3月3日(日)に銀座で開催された東北ワインの試飲イベント「東北ヴァンダジェ2019」に行ってきました!
イベントについては昨年もレポートしたので、今回は新たな視点を加え、3月11日で発生から8年を迎えた東日本大震災の復興支援についても少し触れたいと思います。
復興支援?
唐突に感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はワインと復興支援には密接な関わりがあるのです。
あとで説明しますので、まずはイベントのレポートから!
東北ヴァンダジェ2019 参加レポート
東北ヴァンダジェは、東北6県のワイナリーが東京に集結するイベントで、今年で2回目の開催です。
参加ワイナリーは、昨年より4社増えて33ワイナリー。各ワイナリーから造り手さんが来場されています。
イベントは1部(11:30〜14:00)、2部(15:30〜18:00)の入替制。私は昨年と同じく1部に参加しました。
チケット代は8700円。昨年より500円お安くなってます。
会場は、銀座・並木通りの沿いのビル8階にある「re:Dine」というシェア型レストラン。チケット販売開始当初は昨年と同じ田町の会場でしたが、諸事情により直前に変更になりました。当日はすぐそばで東京マラソンも開催していました。
受付を済ませたら、ワイングラスとイベントロゴをあしらったグラスホルダー、ワインリストと6種類のフードチケットを受け取って、あとは楽しむのみ。
こちらが参加セット。イベント後に撮影したためフードチケットはありません。
111種類の東北ワインと地元食材のペアリング
会場に入ってみると、写真のとおりなかなかの賑わい。わかりづらいですが、窓側一面にわたって33ワイナリーのブースが並んでいます。
昨年のゆったりしたイメージがあったので一瞬たじろぎましたが、並んで待つようなことはほとんどなく、試飲はスムーズにできました。
1部、2部とも参加者は180名ほどだったそうです。
試飲できるワインはなんと111種類。
都内ではなかなかお目にかからないワインの数々。
どれを飲もうか、迷います・・・。
造り手さんが会場のあちこちにいらっしゃるので、話しかけてみるととっても気さくにワインやぶどうのお話をしてくださいます。
このイベントの魅力の一つが、東北の飲食店や漁協などによる地元食材を使ったフードをワインと一緒に楽しめること。またこのフードのレベルが高いのです。
写真は、岩手・綾里漁港さんのブランドほたて「恋し浜ほたて」。山形・ウッディーファーム&ワイナリーさんのソーヴィニヨン・ブランとともに。ワインがほとんど残っていませんが・・・。
他にも、ほや、ムール貝、モッツァレラチーズ巾着、比内地鶏、お蕎麦の計6品を1食ずついただくことができます。それぞれ軽食サイズですが、すべて食べるとお腹いっぱいです。昨年と同じメニューも多く、リピーター気分で楽しませていただきました。
ワインは28種類。美味しくいただきました♪
東北のワインと復興支援
東北ヴァンダジェには、ワインを活用し復興に取り組むワイナリーが多く参加しています。個々のワイナリーさんについては、調査不足の感もあるので改めて記事にしたいと思いますが、東北地方には、東日本大震災をきっかけに設立したワイナリーが少なくありません。
グラフは、直近4年の果実酒製造免許新規取得者(=新規ワイナリー)累計数を地域別に集計したものです。甲信越が多いのは想定内ですが、東北はそれに次ぐ2位。3位以下に大きく差を付けています。なお、震災前と比較できるとよかったのですが、2013年以前のデータが公表されていないため断念しました。
もちろん、すべての新規ワイナリーが復興を目的に設立したわけではないと思いますが、地元の人を雇ったり、遊休農地を活用したり、観光客を呼び込んだりなど、特に被災3県のワイナリーは何らかの形で地域の復興に関わっていると考えられます。
水産業との相乗効果にも期待
東北の水産物と東北ワインのペアリングは、非常に魅力的です。
青森・岩手・宮城にまたがる三陸沿岸部は漁業や養殖業が盛んですが、東日本大震災で壊滅的な被害を受けました。生産量は回復基調にあるものの、復興の道半ばです。
東北ヴァンダジェで提供されていた食材・ほやは三陸産が全国トップシェアを占めますが、福島の原発事故による輸入制限の影響で供給過剰になり、今も大量に廃棄されています。また、上で紹介した「恋し浜ほたて」の産地・三陸町綾里地区も、震災で生産設備などが被害を受けています。
東北ヴァンダジェがまさにそうですが、ワイン産業と水産業がコラボレーションすることで、相乗効果によって個別に活動するよりも大きな価値が生まれ、復興の力になることが期待できます。
ちなみに「ほや」って見た目はグロテスクですが、とってもワインに合うんですよー
空間経済学が提示する復興のシナリオ
筆者がバイブル的に使っている『復興の空間経済学』という本について少し書いておきます。
この本では、三陸地方における東日本大震災からの復興について、空間経済学の視点で検討しています。空間経済学は「都市がどうやって生まれるのか?」などを研究対象とする経済学の分野で、著者の1人である藤田昌久先生は第一人者です。
ポイントとなるのが、人口減少時代における創造的復興。
「創造的復興」は阪神淡路大震災の後に登場した言葉で、被災地を単に震災前の状態に戻すのではなく、先の時代も見据えて再建することを指します。
本では、人口減少で需要が縮小する中、地域の自然資源を活かしながら創造的復興を遂げるためのシナリオとして、
- 地域産品のグローバル市場への輸出
- 地域産品のブランド化
の2つを挙げています。
具体的には、三陸沿岸部の水産物をブランド化して、和食ブームの新興国市場に広めることが例示されています。
この本にはワイン産業は一切登場しないのですが、地域産品のブランド化や和食ブームに乗った海外へのPRという点では、日本ワインも十分活用できると思います。
インバウンドの誘致にもつながるかもしれません。
まとめ
地元産ぶどうで造ったワインを地域ブランドとして育て、地元食材とのペアリングで相乗効果を高め、復興につなげる。
それには、私たちも参加できます。
- 東北のワインを買ってみる
- 東北産のおつまみも買ってみる
- 東北に旅行に行ってみる
- 次回の東北ヴァンダジェに参加してみる
楽しそうですよね^ ^
ワインを活用した復興支援については、今後も記事にしていきたいと思います。
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三陸のほやを救うために活動されている「ほやラバーズ倶楽部」さんが、2019年度会員を募集中です。ぜひチェックしてみてください!
そして、記事で紹介した本はこちら。
ではではー
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