国税庁「国内製造ワインの概況」2018年度調査結果をサマリーしてみる

こんにちは!ミユ(@miyuwinomics)です。

先日国税庁のサイトで「国内製造ワインの概況(平成30年度調査分)」のデータが公表されました。

「国内製造ワインの概況」は、国税庁が国内のワイン製造業者に対して年1回実施する果実酒製造業者実態調査の結果資料です。

2018年度のデータが今頃公表される感じで速報性には欠けますが、日本のワイン産業の動向を捉えることのできる数少ない資料の1つです。

というわけで、1年前と同じ流れで調査結果をまとめてみました。説明が前回と重複する部分もありますが、ご了承ください。

はじめに:データに関する注意点

日本ワインの生産量、出荷量、輸入量はあくまでアンケート調査の集計結果です。

  • 未回答の業者の実績は反映されていない
  • 毎年同じ業者が回答しているとは限らない

など、年度により多少のブレがあることにご注意ください。

なお、平成30年度調査分の回答数は、対象312者中273者でした。

日本ワインの生産量・出荷量・輸出量の変化

図は、日本ワインの生産量・出荷量・輸出量について、調査が開始した2015年以降のデータをまとめたものです。昨年のグラフに2018年度のデータを追加しました。*1

生産量、出荷量は4年を通じて大きな変化がなく、横ばいになっています。輸出量は他の2つと比べると絶対量が少ないですが、グラフは右上がりで順調に増加しているようにも見えます。

ちなみに、日本ワイン以外の国内製造ワインの生産量は65,707KLでした。国産全体に占める日本ワイン生産量の割合は20.2%で、2017年度とまったく同じ数字です。

*1 前回まとめ記事の2016年度出荷量に誤りがあったため、訂正しています。申し訳ありません。

国内ワイン市場における日本ワインのシェア

輸入ワインも含めて国内で流通するワインのうち、日本ワインのシェアは4.6%。2017年度から0.5%増加しました。

昨年も書きましたが、2019年度以降はEPAの影響で輸入ワインの比率が増えるんじゃないかなーと思っています。その辺はまた別の記事で書きたいと思います。

国内のワイナリー数の変化

全国のワイナリー数は331。前年度から28件増加しました。

国内のワイナリー数推移
年度ワイナリー数増加率うち日本ワイン
2015280データなし
20162838.4%データなし
20173037.1%226
20183319.2%263

なお、表の「ワイナリー数」は、調査年度においてワインの生産または出荷の実績がある果実酒製造場の数で、免許を持っているだけのワイナリーは対象外です。「うち日本ワイン」は調査で日本ワインの生産量を回答したワイナリーの数です。

都道府県別ランキング

続いて、都道府県別の日本ワイン生産量ベスト10を確認します。

都道府県別日本ワイン生産量ベスト10(2018年度)
順位都道府県名生産量(kl)前年比ワイナリー数
1山梨県5,189-6.2%59
2長野県3,950-3%35
3北海道2,603-11.3%33
4山形県1,159-3%15
5岩手県580+7%10
6岡山県394+3.7%8
7新潟県339-13.3%9
8宮崎県306-13.3%5
9島根県241-9.4%4
10栃木県237+14.5%4

先にご紹介したように日本ワイン全体の生産量が2017年に比べて減少したため、前年比でマイナスの都道府県が多いです。

なお「ワイナリー数」は、全ワイナリーではなく日本ワインを生産するワイナリーの数です。生産量のランキングにおおよそ対応しています。

2017年度からの変化としては、前回7位だった岡山県が新潟県を抜いて6位になったほか、圏外(15位)だった栃木県がベスト10入りしました。その他の県は2016年度以降同じ順位です。

ぶどう品種別ランキング

最後に、ぶどう品種別受入数量(=ワインの原料として受け入れられた国産生ぶどうの数量)のベスト10を白ワイン用と赤ワイン用に分けて確認します。

ぶどう品種別受入数量ベスト10(2018年度)
順位白ワイン用品種赤ワイン用品種
1甲州マスカット・ベーリーA
2ナイアガラコンコード
3デラウェアメルロ
4シャルドネキャンベルアーリー
5ケルナー巨峰
6ソーヴィニヨン・ブランブラック・クイーン
7セイベル9110カベルネ・ソーヴィニヨン
8竜眼(善光寺)ヤマソービニオン
9ポートランドピノ・ノワール
10リースリング・リオンツヴァイゲルト

ポイントとしては、白はソーヴィニヨン・ブランが8位から6位に上昇。赤はブラック・クイーンピノ・ノワールが前年度から1つずつ順位を上げています。

なお、数量でみると、ソーヴィニヨン・ブランは163t→167tと微増です。一方、ブラッククイーンは319t→360t(前年比13%増)、ピノ・ノワールは213t→251t(同18%増)とまずまず増加しています。

まとめ

いかがでしたか?

2018年度のトレンドをまとめると、

  • 日本ワインの出荷量と輸出量が増加、生産量は減少
  • ワイナリー数が28件増加
  • 岡山県、栃木県が生産量で順位を上げる
  • ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールなどの欧州系品種が台頭(?)

4点目は個人の見解ですが・・・。

今後も地道にサマっていきたいと思います。

過去分の「国内製造ワインの概況」のまとめ記事はこちらからどうぞ!

ワインの統計
日本ワインや国内外のワイン市場に関する統計データを図表化して紹介しています。

ではではー

参考リンク

国内製造ワインの概況(平成30年度調査分)|国税庁

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