ワインのことがわかる政府統計についてサマリーしてみる

こんにちは!ミユ(@miyuwinomics)です。

私事ですが、この度日本ワイン検定1級に合格しました!

2019年もますます頑張っていきたいと思います。

さて、今回のテーマはワインの統計です。

というのも、2018年も昨年と同じように国税庁の「国内製造ワインの概況」の2017年度調査結果のまとめ記事で締めくくりたかったのですが、残念なことにデータが公表されないまま年を越してしまいましたT T

2016年度のまとめ記事は、当ブログの中でも比較的多くのアクセスをいただいており、ワインの統計に関心の高い方が案外いらっしゃるんだなーと思いました。というわけで、今回は筆者がチェックしているワイン関係の政府統計についてサマリーしてみたいと思います。

ワイン産業のことを調べている方のお役にも立てれば幸いです。

政府統計の種類

まずは簡単に専門用語を押さえておきましょう。

調査統計

統計調査の結果を元に作成する統計です。手間が掛かるので結果の公表までに時間を要します。

調査統計には、すべての対象を調査する全数調査と、対象の一部(サンプルといいます)を調査する標本調査があります。全数調査のほうが統計の正確性は高いですが、対象の数によってはかなりの労力とコストが掛かります。

業務統計

届出や許認可などの業務記録を集計して作成する統計です。既存のデータを使用するので、調査統計よりも速報性があります。

加工統計(二次統計)

既存の統計データを加工して作成する統計です。

ワインの統計データ

政府統計のうち、ワインに関する情報が得られるものをピックアップしてみました。

  • 国内製造ワインの概況
  • 酒税課税状況表
  • 貿易統計
  • 特産果樹生産動態等調査
  • 消費者物価指数(CPI)
  • 工業統計調査
  • 全国消費実態調査

主要なものはカバーできていると思いますが、不足があったらすみません。

それでは、個別に見てみましょう。

国内製造ワインの概況(国税庁)

  • 公表周期:年次
  • 公表時期:調査年度の翌11月〜12月頃*
  • 得られる主なデータ:都道府県別・規模別のワイナリー数、ワインおよび日本ワインの生産量・消費量
  • リンク:果実酒製造業の概況|国税庁

このブログでかなり使っている統計データです。

全国のワイン製造業者を対象に毎年実施する「果実酒製造業者実態調査」の結果を元に作成されます。この後紹介する「酒税課税状況」のデータも一部使われます。

以前は「果実酒製造業の概況」という名前の資料でしたが、日本ワインの表示ルールが制定された2016年度調査分からは「国内製造ワインの概況」に名前を変え、従来のデータに加えて日本ワインに特化した調査結果も公表するようになりました。

グラフが多用されている点、日本ワインのデータが確認できる点など、日本のワイン製造業を概観する資料として優れています。

例年12月には前年分のデータが公表されるのですが、本日時点で2017年度のデータは公表されていません。

*2020.3.3追記:2017年度、2018年度の「国内製造ワインの概況」は、調査年度の翌年2月に公表されました。

酒税課税状況表(国税庁)

  • 公表周期:月次
  • 公表時期:対象月の約3ヶ月後(速報)
  • 得られる主なデータ:ワインの製成・課税・販売数量および金額
  • リンク:統計情報・各種資料|国税庁

酒税の課税状況を集計した業務統計です。ワイン出荷量や輸入量、販売量が課税ベースでわかり、速報性も高いので使い勝手が良いです。

酒税の統計なので、ワイン以外のお酒のデータも確認できます。年に一度公表される「酒のしおり」というまとめ資料では、時系列データがグラフ化されていて、ワインと他のお酒のデータを比較するのにとても便利です。

貿易統計(財務省)

  • 公表周期:月次
  • 公表時期:当該月の翌月下旬(確報)
  • 得られる主なデータ:ワインの輸出入数量・金額、主要な輸出入相手国
  • リンク:財務省貿易統計

税関の輸出入申告データをまとめた業務統計です。速報性が高く、その月の月末には速報、翌月下旬には確報が公表されます。ワインのデータは確報で確認できます。

データが膨大なので、目的の統計表に辿り着くのに苦労するかもしれません。ワインの数値だけをみる場合は、上記リンクの検索ページでワイン(ぶどう酒)の品目コード「2204」を指定して探してみてください。

特産果樹生産動態等調査(農林水産省)

特産果樹生産動態等調査は、各果物について生産量の多い都道府県を対象に行う調査統計です。ワインに関するデータは、「ぶどう用途別仕向け実績」で確認できます。

都道府県別のぶどうの収穫量や、そのうちワイン生産に使われた量などを把握することができて便利なのですが、結果の公表がかなり遅いのが難点です。

消費者物価指数(総務省)

日本の物価指標としておなじみで、CPIとも呼ばれます。小売物価統計調査や家計調査を元に作成する加工統計です。

基準年の物価を100とした場合のワインの物価指数を、地域別や時期別に確認できます。国内製造ワイン(国産品)と輸入ワインで項目が分かれているところがニクいです。

最新のデータを見る場合は、上記リンクの「調査の結果」からe-Statのページに移動し、「2015年基準消費者物価指数」の統計表で「2041 ワイン(国産品)」、「2042 ワイン(輸入品)」を探してみてください。

工業統計調査(経済産業省)

  • 公表周期:年次
  • 公表時期:調査実施から約1年後(確報)
  • 得られる主なデータ:都道府県別ワインの出荷数量・金額
  • リンク:工業統計調査|経済産業省

全国の製造業の事業所に対して毎年実施する調査統計(全数調査)です。速報と確報があり、ワインのデータは、確報の「品目別統計表」で確認できます。

注意点として、先に挙げた国税庁・酒税課税状況表の「課税数量(国税庁分)」もワインの出荷数量を表しますが、工業統計調査の数値とのズレがあります。統計の方法が違うため仕方ないのですが、個人的には課税ベースで算出する国税庁の統計のほうが信頼度が高いかなと思っています。

一方、工業統計調査では製造業が対象とする品目がかなりカバーされているので、お酒以外のモノとワインを比較したい場合に役に立ちます。

*工業統計調査は、経済センサス活動調査の実施年(4年に1回)には実施されません。

全国消費実態調査(総務省)

5年に1回、全国の約56400世帯(うち単身世帯約4700世帯)に対して行う調査統計です。世帯の消費・所得・資産について、地域別や世帯類型別などの様々な角度で集計されています。

家計調査に似ていますが、こちらのほうがサンプル数が多く(家計調査は約9000世帯)、より詳細な結果を得られます。ただし、ワインなど生活必需品以外の品目はサンプルによる結果のブレが特に大きいと言われるため、私はあくまで参考程度に見ています。工業統計調査と同じく、他の品目との比較に向いています。

ワインのデータを見る場合は、上記リンクの「統計表一覧」からe-Statに移動し、「品目及び購入先・購入地域に関する結果」という統計表を探してみてください。

まとめ

ワインのことがわかる政府統計をサマリーしてみました。

個別の統計について、今回はざっくりとした紹介にとどめましたが、本当はもっとちゃんと説明したいので、別の機会に書きたいと思います。

「国内製造ワインの概況」の2017年度データが公表されたらなるべく早く記事にしますので、しばしお待ちください。2016年度のまとめ記事はこちらからどうぞ!

ではではー

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