こんにちは!ミユ(@miyuwinomics)です。
半年前、2018年10月30日に国が定める初のワイン表示ルールが施行されるという記事を書いたのですが、いよいよその日が近づいてきました。
今回は買う側の視点で、新しいワインラベルのどこに注目すればいいのか?について、5つのポイントでまとめてみたいと思います。
日本ワインを選ぶ際に参考になれば幸いです^ ^
はじめに:表示ルールとは?
表示ルールの名は、果実酒等の製法品質表示基準。
長いので、以下「表示基準」と書きます
これまで、日本国内で製造されたワインは原料が海外産であってもすべて「国産ワイン」と呼ばれていましたが、国産ぶどう100%を原料とする日本ワインとそれ以外の国産ワインを区別して消費者に選びやすくすることを主な目的として制定されました。
規定の内容についてはこちらの記事でまとめていますので、合わせてどうぞ!
買う側が知っておきたい5つのポイント
これを押さえておけばだいたい何とかなる!というポイントを5つに絞ってみました。
- 日本ワインには必ず「日本ワイン」と表示
- 日本ワイン以外の国内製造ワインは表ラベルでわかる
- 地名、品種名、ヴィンテージの表示条件は ”85%以上”
- 地名は産地、収穫地、醸造地のいずれか
- 表示基準が適用されないワインもある
以下、それぞれ説明します。
1. 日本ワインには必ず「日本ワイン」と表示
表示基準の施行によって、日本ワインの一括表示欄に「日本ワイン」と表示することが義務化されます。一括表示欄は必要事項を表示する欄のことで、通常はボトルの裏側にあります。
こちらが日本ワインの一括表示欄です。
左上に「日本ワイン」とバッチリ書かれていますよね。
となると、
「日本ワイン」と書いていないワインは、国産ぶどう100%のワインでない
と判断して良さそうです。
が、例外があります。
これについては5つめのポイントで説明します。
2. 日本ワイン以外の国内製造ワインは表ラベルでわかる
日本ワイン以外の国内製造ワインは「主たる商標を表示する側」(通常は表ラベル)に、輸入ワインや濃縮果汁を原料に使用した旨を表示しなければなりません。
これは、店頭に並んでいる状態でも見分けがつくようにするためです。
また、表ラベルに産地やぶどうの品種名、ヴィンテージ(収穫年)を表示することが禁止されます。
こちらは、長野県・アルプスさんの酸化防止剤無添加わいん 赤のラベルです。左端に「輸入ぶどう果汁使用」とあります。この時点で、日本ワインでないことがわかります。
さらに、一括表示欄には原材料を使用量の多い順に表示しなければなりません。裏側を見てみましょう。
①国産のコンコード
②外国産のコンコード濃縮果汁
の順に多く使用されていることがわかります。
3. 地名、品種名、ヴィンテージの表示条件は ”85%以上”
日本ワインは、一定の条件を満たす場合に表ラベルに地名やぶどうの品種名、ヴィンテージ(収穫年)を表示することができます。
早速ラベルを見てみましょう。
このラベルは、地名、品種名、年号、すべて表示しています。それぞれ、次のことがわかります。
地名・・・Azumino(Château Azuminoの部分)
長野県安曇野市内で収穫したぶどうを85%以上使用し、安曇野市内で醸造。
ちなみに、AZUMINO WINERYは会社名です。地名を含む会社名の表示は、消費者が容易にそれと判別できる場合に認められます。
品種名・・・Chardonnay
シャルドネ種を85%以上使用。
ヴィンテージ・・・2014
2014年に収穫したぶどうを85%以上使用。
もうお気づきですよね。
地名(収穫地)、品種名、ヴィンテージを表示するためには、その特徴のぶどうを85%以上使用していることが条件となります。
これまでの自主基準では ”75%以上” が条件だったので、新ルールで厳しくなります。
ちなみに画像のワインは、長野県・安曇野ワイナリーさんのシャトー安曇野シャルドネ2014。1つめのポイントで紹介した一括表示欄もこのワインです。
もう1つ見てみましょう。
こちらは、山梨県・イケダワイナリーさんのヴァン・ルージュ。
右端の赤いマークの中に「2017」とあります。ヴィンテージのみを表示している例です。
こちらも1つ注意が必要で、ラベル上部の「Since 1956」は創業年などを表していて、ワインのヴィンテージではありません。「Since 2018」「2018年創業」などの表示は認められています。
また、複数のぶどう品種名を表示している場合は、合計で85%以上使用していることを意味します。
4. 地名は産地、収穫地、醸造地のいずれか
地名は商品イメージやブランド価値に直結する情報です。表示に関しても、品種名やヴィンテージより細かく規定されています。
表ラベルに表示される地名は、次のいずれかに該当します。
- 原料ぶどうの収穫地
- ワインの醸造地
- 上記の両方(=ワイン産地)
それぞれ、表示方法によって見分けることができます。
地名=ワイン産地の場合(表示例:東京ワイン)
3つめのポイントで紹介した「シャトー安曇野」という商品名は、ぶどうの収穫地とワインの醸造地が同じ地名だからこそ表示することができます。
地名の表示方法の中で、ブランド力は最強と言ってよいでしょう。
地名=収穫地の場合(表示例:東京産ぶどう使用ワイン)
山形県・ベルウッドヴィンヤードさんのデラペティ2017の表ラベルを横から。
左下に「上山市産ぶどう使用」とあります。これは、「上山市はぶどうの収穫地だけどワインの醸造地ではない」ということを表しています。
実際、裏の一括表示欄を見てみると、醸造地は宮城県仙台市となっています。
地名=醸造地の場合(表示例:東京醸造ワイン)
北海道ワインさんの「おたる醸造 赤」の表ラベルです。
以前は「おたる」シリーズだったのですが、小樽はワイナリーの所在地であってぶどうの収穫地ではないため、表示基準の施行によって「おたる」単独で表示することができなくなり、「おたる醸造」に刷新されました。
見づらくてすみませんが、ラベルの左下に「おたるは葡萄の収穫地ではありません」と書かれています。これも表示基準の規定によるものです。
地名表示の厳格化に伴って商品名を変更せざるを得なくなったケースは他にもたくさんあります。
5. 表示基準が適用されないワインもある
表示基準は法律に基づくルールのため、違反した場合には罰則があります。
突然ですが、問題です。
Q:「東京産ぶどう100%使用」と書かれていて明らかに日本ワインですが、どこにも「日本ワイン」と表示していないワインが売っていました。このワインは表示基準に違反しているでしょうか?
正解は・・・
A:違反しているとは限らない
です。
どういうことでしょうか?
表示基準の附則によると、適用の日より前、つまり、2018年10月30日より前に瓶詰めされたワインは基準の適用外となります。
問題のワインも、10月29日までに瓶詰めされたなら「日本ワイン」と表示していなくても違反になりません。
つまり、施行後も適用外のワインがある程度は出回るということになります。まあ、すでに出荷済のワインのラベルを貼り替えるなんて、ちょっと現実的でないですよね。
適用外のワインを見分ける方法については、こちらの記事でどうぞー
まとめ
いかがでしたか?
半年前と比べると、「日本ワイン」と表示したワインを見かける機会が増えてきました。
ラベルでいろいろな情報を読み取れるようになることで、ワインの選択肢が広がると思います。
ぜひ、ワインを手にとってラベルをチェックしてみてください^ ^
ではまたー
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