日本ワインは副産物もすごい?

こんにちは!ミユ(@miyuwinomics)です。

今回のテーマは、日本ワインの副産物です。

副産物とは、ある産物の生産過程で付随して得られる産物のこと。

豆腐でいえば、オカラ豆乳湯葉などです。

もちろん、ワインにも副産物はあります。

今回は、国内におけるワインの副産物の活用例を紹介しつつ、その経済的な意義についても考えてみたいと思います。

日本ワインの副産物とは?

ワインは大ざっぱにいうと、

①ブドウを搾る

②果汁が発酵

③熟成

というプロセスを経て造られます。

この生産過程で得られる副産物で主要なものは、次の2つです。

  • ブドウの搾りかす
  • 澱(オリ)

ブドウの搾りかすは、文字どおり、ブドウを搾った後に残る果皮種子などです。

澱(オリ)は、発酵を終えた酵母や、ワインの熟成過程でたんぱく質ポリフェノールタンニンなどの成分が樽やタンク内で結晶化したものを指します。ワインボトルに沈んでいるのを見たことがある方も多いかと思います。

これらの副産物がどのように生まれ変わるのでしょうか?

ワインの副産物の活用例

グラッパ/マール

ブドウの搾りかすを発酵させた原酒を蒸留して造られるお酒で、食後酒として飲まれます。グラッパはイタリア名、マールはフランス名です。日本では粕取りブランデーと呼ばれることもあります。

国内のワイン製造業者では、メルシャンや山梨県の白百合醸造、機山洋酒工業、大阪府のカタシモワインフードなどが生産しています。

ちょうど週末に試飲会で白百合醸造の内田社長とお話させていただく機会があったので伺ったところ、ワインと同様にグラッパにも力を入れておられますが、たくさん生産できないので県外ではあまり出回っていないそうです。白百合醸造さんの内田葡萄焼酒(うちだグラッパ)。気になった方は通販か勝沼のワイナリー売店で!

内田葡萄焼酒 – 山梨県勝沼のワイナリー|ロリアンワインの白百合醸造

家畜の飼料

ブドウの搾りかすをエサとして育った牛といえば、山梨県・小林農場の甲州ワインビーフが有名です。初めて聞いたとき、ワインを飲んで育った牛かと思ってしまいました・・・。

小林農場さんのホームページによると、ワイン粕が含む良質な繊維、ブドウの皮や種、酵素の働きによって牛の旨味が引き出されるのだそうです。

以前ネットで取り寄せていただきましたが、美味でした。ワインはもちろん山梨の赤で^ ^

甲州ワインビーフ小林牧場 JAS認定牛肉

有機肥料

ブドウの搾りかすを肥料として再利用している事例は、ネットで調べると国内外でいろいろ見つかります。

メルシャンやマンズワイン(キッコーマン)といった大手企業のホームページでは、環境活動の一環として紹介しています。

キリン|環境への取り組み|もっとひろがる お酒の世界|お客様相談室
キッコーマン|廃棄物・副産物の削減と再生利用

化粧品

石川県の化粧品メーカー・TOWAKOメディカルコスメティック社では、同じ石川県の能登ワインと協力し、赤ワインの澱から抽出したアミノ酸やポリフェノールなどの美容成分を原料とした基礎化粧品「ラヴィージョ」を製造・販売しています。

この商品は、県のプレミアム石川ブランド製品に認定されています。開発にあたり、石川県産業創出支援機構からの資金支援を受けています。

TOWAKOメディカルコスメティック株式会社

ロッシェル塩

他の活用事例とはだいぶ方向性が違いますが、日本ワインの歴史を語る上で避けて通れない事実として。

第2次世界大戦中、澱に含まれる酒石酸から採れるロッシェル塩が、日本海軍のレーダーなどに使われていました。なんと、ワインが軍事利用されていたのです。

戦時中多くの果樹園が食糧生産に駆り立てられる中、山梨県の一部のブドウ園とワイン製造業者は政府からの要請に応じるためにワインを造り、生き延びていました。

副産物を活用する経済的意義

では、副産物を活用することは、経済的にどんな意義があるのでしょうか?

1. エコ

ブドウの搾りかすや澱は、再利用しない場合そのまま廃棄物=ゴミになります。

副産物を再利用しゴミを減らすことは、CO2などの温室効果ガスの削減、ひいては環境保護に繋がります。企業側にとっては廃棄費用の削減企業イメージの向上などのメリットがあり、再利用へのインセンティブが働きます。

ちなみにイタリアの話ですが、ブドウが発酵する際に発生するCO2を再利用するプロジェクトを推進している人たちがいるそうです。興味のある方は下のリンクで。

「ワインから発生するCO2が味と環境を変える」:27歳の若者が発明|WIRED.jp

2. 地域活性化

石川県の基礎化粧品や山梨県の甲州ワインビーフなど、ワインの副産物から産まれる新たな製品は、ワイン産地ならではの特産物として地域ブランドの強化に貢献します。

地域活性化はちょっとしたトレンドなので、マスコミなどにも取り上げられやすいのではないかと思います。公的機関からの支援を受けやすく、新たなビジネスとしても魅力的です。

また、そのビジネスや製品がヒットすれば、雇用創出や観光消費などによって経済波及効果も期待できます。

まとめ

日本ワインの副産物の活用。

華やかなワインの世界の中ではあまり注目されませんが、エコと地域活性化という2つの社会の重要課題に接点を持っているのです。大げさかもしれませんが、今後日本のワイン産業の発展と共に拡大していく可能性が大いにありますので、引き続きチェックしていきたいと思います。

ワインの副産物からできた製品は、今日紹介した以外にもたくさんあると思いますので、みなさんもぜひ探してみてください!

ではではー

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