こんにちは!ミユ(@miyuwinomics)です。
この時期はワイナリーのオフシーズンになるので、都内でも様々な日本ワインのイベントが開催されています。
試飲会、セミナー、メーカーズディナーなど、ワインのイベントにもいろいろありますが、ズバリ、みなさんは参加費いくらくらいまでなら支払ってもいいと思いますか?
もちろん、どんなワインがどのくらい飲めるか?とか、食事付きか?などによって許容できる価格は変わると思います。
というのも、今週末の2月25日に帝国ホテルで長野ワインフェス in 東京が開催されますが、とあるSNSでこのイベントのチケット代が高いという議論がありました。興味深かったので、今回はワインイベントの価格設定について考えてみたいと思います。
ワインイベントの相場は?
まずは相場感を掴んでおこうということで、ワインイベントの情報サイト「Love Wine」に2018年2月20日時点で掲載されていた、2018年1月以降に都内で開催される一般消費者向け有料ワインイベントの参加料金を調べてみました。
下の表は、イベントのタイプ別に参加料金の合計を件数で割って平均価格を算出したものです。
イベントのタイプ | 件数 | 平均価格 |
---|---|---|
試飲会 | 24 | ¥3,383 |
食事付きワイン会 | 15 | ¥10,153 |
セミナー | 3 | ¥2,800 |
前売券がある場合は、前売価格を優先しました。また、複数日開催のイベントは、1件としてカウントしています。
イベントのタイプはもう少し細かく分けてもよかったのですが、あくまで相場感ということで、ご理解ください。
食事付きのワイン会はそれなりの金額になるようですねー。ちなみに軽食は食事と見なさず、試飲会にほうにカウントしています。
ワインイベントの価格を決める要素は?
商品の価格設定には数々の手法がありますが、マーケティング理論などでよくみるのは、以下の3つのアプローチです。
- コスト(いくらで売れば利益がでるか?)
- 需要(消費者がいくらまで出してくれるか?)
- 競争(競合他社がいくらで売っているか?)
これをワインイベントに当てはめてみます。
1. コスト
ワインイベントの開催に掛かる費用として、主に下記が考えられます。
- ワインの仕入額
- スタッフの人件費
- 会場や設備のレンタル料
- お料理代
- セミナーの講演料
- 広告宣伝費
通常、企業は利益を追求するものですので、費用をペイした上で手元に利益が残るような参加料金を考えなければなりません。
ただし、販促目的の試飲会などであれば、無料にしたり、低い価格を設定することもあります。
2. 需要
経済学用語で、価格の変化による需要の変化の度合いを「需要の価格弾力性」といいます。米や光熱費などの生活必需品は、多少値上がりしても買わないわけにいかないので、価格弾力性が低いと言われます。
一方、ワインイベントのような教養娯楽サービス商品は、なくても生活に困らないので、必需品に比べると価格弾力性が高いとされます。
ですので、参加料金が安いほど行きたいと思う人が多く、高いほど少なくなることが考えられます。
また、参加者が定員を大きく下回った場合、イベントが盛り上がらずマイナスイメージを与えてしまう可能性もあります。
いくらなら売り切れるか?を考慮した価格設定が必要です。
3. 競争
競合相手が同じようなワインイベントをやっている場合、その価格を参考に設定する方法もあります。
競合より低い価格に設定すれば、お客さんが流れてくるかもしれませんし、イベントの内容やワインの質に自信があるなら、むしろ競合よりも高い価格に設定してプレミアム感を演出することもできます。
長野ワインフェスは高いのか?
チケット代が高いと言われてしまった長野ワインフェス in 東京は、県内のワイナリー35社が集まるなかなか大きな規模の試飲会です。
事業者向けと一般向けの回があり、一般向けは各2時間の2部構成で、約90種類の長野産ワインを飲み比べできます。
チケットは、前売7000円、当日7500円。
この金額を「安い!」と思う人はあまりいないと思いますが、長野ワインを知らない人や、特別な思い入れがない人には「高い」と思われてもおかしくない金額です。
私がSNSで見たコメントも、批判ではなくて、「長野ワインをPRしようというなら、この値段設定では一般消費者に ”長野ワイン=高い” というイメージを持たれてしまうのでは?」という指摘で、個人的にはごもっともだと思いました。
ただ、他と比べて高いのか?というと、そうでもないと思います。
長野ワインフェスのように特定地域のワイナリーが集まる都内開催の試飲会といえば、山梨ワイナリーズフェアや山形ヴァンダジェなどがありますが、2017年の山梨ワイナリーズフェアは6000円、山形は今年は東北ヴァンダジェとしての開催で9200円。内容の違いはあるかと思いますが、長野が特別に高いというわけではなさそうです。
事実として、長野ワインフェスのチケットは売れているようで、第1部(定員300名)のチケットはすでに売り切れています。
まとめ
今回は、ワインイベントの価格設定について考えてみました。
価格決定へのアプローチは3つ。
- コスト → 利益が出る価格にする。
- 需要 → お客さんが集まる価格にする。
- 競争 → 競合他社の価格を参考にする。
こう書いてみると、ワインイベントに限ったことではなく当たり前の話なのですが、今は「知ってもらってナンボ」である日本ワインのイベントに限っていうと、需要、すなわちお客さんの許容価格に注目すべきだと思います。
ロケーションもいいし貴重なワインが飲めそうなので高くても仕方ないかなー
と思う人がいれば、
高っ!!!もう少し安ければ行くのになー
と思う人もいます。
最終的に選ぶのは消費者。
難しいですね。
ちなみに、長野ワインフェス in 東京のチケット、第2部はまだ残っているようなので、興味のある方はお早めに!
そして都内のイベントでもうひとつ!
昨日から伊勢丹新宿店で「世界を旅するワイン展」が開催されています。2015年から毎年開催されている世界各国のワインの試飲即売イベントですが、日本ワインのコーナーも設けられていて、日本各地から生産者が来場します。
生産者さんのお話を聞きながらワインを試飲でき、気に入ったらその場で購入もできる貴重なチャンス。
開催は2月26日(月)まで。入場無料ですので、お近くのかたはぜひ!
今回ワインイベントのデータを参照させていただいた「Love Wine」のサイトはこちらから。全国のワインイベント情報を確認できます。
ではではー
*本記事で紹介したイベントは、すでに終了しています。
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