東北ヴァンダジェ2018でみる東北ワイン産業のポテンシャル

こんにちは!ミユ(@miyuwinomics)です。

先週末の5月20日(日)、東京・港区で開催された東北ヴァンダジェ 2018に行ってきました!

最近、東北ワインの盛り上がりをひしひしと感じます。

今回はイベントのレポートをしつつ、東北地方のワイン産業の動向を確認してみたいと思います。

東北ヴァンダジェとは?

東北ヴァンダジェは、東北地方のワイナリーと首都圏の消費者をつなぐワインイベントです。参加ワイナリーは、東北6県の29社。この数の東北のワイナリーが都内に集まるイベントは他にないと思います。

東北ヴァンダジェ2018のポスター

東北地方の地図をあしらったポスター。

前回までは「山形ヴァンダジェ」として山形県のワイナリーに特化したイベントでしたが、2年ぶりに復活した今回は「東北ヴァンダジェ」に名を変え、東北全体に範囲を広げています。

ちなみに「ヴァンダジェ」は、フランス語でワインを意味する「vin(ヴァン)」と、山形県の方言で「だぜ」を表す「だじぇ」を組み合わせた言葉なのだそうです。

会場は、JR田町駅から徒歩15分のヒュースタジオという海に程近い撮影スタジオ。

第1部(11:30〜14:00)、第2部(15:30〜18:00)の2部構成で、2時間半のあいだワインを楽しむことができます。私は第1部に参加しました。

東北ヴァンダジェ2018のシステム

91種類のワインを飲み比べ

チケットは前売・当日ともに9200円。受付を済ませたら、ワイングラスとオリジナルのグラスホルダー、フードチケット、ワインリストをもらいます。グラス代も料金に含まれています。こんなかんじです。

東北ヴァンダジェ2018の参加セット

会場に入ったら、お目当てのワイナリーのブースに行ってワインを注いでもらい、あとは楽しむだけ。生産者さんも多く来場されているので、お話を聞きながら試飲できます。

試飲できるワインは91種類。1回で注がれる量は数10ml程度ですが、2時間半あるのでペース次第ではボトル1本分以上飲めてしまいそうです。また、東北の食材を使った軽食が7種類用意されていて、1食ずついただけます。販売コーナーもあり、気に入ったワインを購入できます。

東北ヴァンダジェ2018の会場の様子

会場の様子。ほどよい混み具合で、試飲もスムーズです。

WANOワイナリーのワイン

こちらは青森県・WANOワイナリーさんのスチューベン3DAYSと7DAYS。スチューベンはアメリカ系の生食用ぶどうで、青森県が国内生産量1位です。ロゼも含めて3種類を飲み比べさせていただきました。

他にもヤマソーヴィニヨンリースリング・リオンなど、東北地方で多く生産される普段あまり見かけないぶどうのワインを飲み比べできるのも嬉しいです。

ぶどう以外のフルーツ生産も盛んな東北。ラフランスさくらんぼりんごで造られたワインも20種くらい出ていました。

私が試飲したのは38種類。半分にも届きませんでしたが、どれも美味しくいただきました。

チケット代について

またカネの話か!と言われそうですが、性分なので書いておきます。

9200円というチケット代は、日本ワインの試飲会としては少しお高めです。実際に私は価格を見て行くかどうか迷いましたが、興味のほうが勝りました。

参加してみてどうだったかというと、

  • 数十種類の東北のワインを少しずつ試せた
  • なかなかお会いすることができない東北の生産者さんたちにお話を伺えた

などの点で、チケット代以上の価値があったと思います。ワインの価格うんぬんではなく、付加価値の部分が大きいです。

ただし、付加価値の捉え方は人によって異なります。

今後のイベントの方向性として、より多くの人に東北ワインをPRしていく場合は、とにかく来てもらうことが重要ですので、チケット代を抑える必要があるかもしれません。

東北ワイン産業の動向

では、東北地方のワイン産業について簡単に見てみましょう。データは国税庁の直近の調査結果(2016年調査分)を使っています。

日本ワイン生産量のシェアは12%

図は、2016年の日本ワイン生産量の地域別シェアを表したものです。*1

2016年日本ワイン生産量地域別シェア

東北6県のシェアは12%。山梨、長野、新潟というツワモノ揃いの甲信越が圧倒的なのは想像どおりかと思いますが、都道府県別生産量で全国4位の山形県5位の岩手県を擁する東北は、意外と健闘しているのです。

*1 地域区分は、内閣府「地域の経済2017」を参考。

新興ワイナリーが増加中

東北6県における2016年のワイナリー数34件。前年から5件増加しました。

5件が多いのか?少ないのか?

下の図でピンクの棒グラフが前年比件数です。北海道と甲信越の8件に続くのが東北の5件です。マイナスの地域もあるので、相対的には多いと言えます。

2016年地域別ワイナリー数

東北6県の内訳は下図のとおりです。岩手県を除く5県で増加しており、地域全体で新規参入が起こっていることがわかります。

東北6県のワイナリー数の変化

ちなみにこのワイナリー数は、2017年3月31日時点で酒類等製造免許を取得していて、かつ2016年度にワインの生産か出荷の実績があるワイナリーの数なので、最近免許を取得したワイナリーは含まれません。

2017年の新規免許取得者を確認したところ、東北ヴァンダジェの参加ワイナリーが4社も入っていました。また、同じく参加されていた山形のベルウッドヴィンヤードさんは来年免許取得予定で、今は自社栽培のぶどうを宮城県・秋保ワイナリーさんで委託醸造しているそうです。

つまり、近い将来、少なくとも5社が調査結果に追加でカウントされる見込みとなります。

復興支援事業としてのワイン産業

最近新聞記事で、2011年に発生した東日本大震災の被災地において、地元の方や移住者が復興支援を目的としてワイン生産に取り組む事例をよく見ます。

震災から7年経った今も、岩手・宮城・福島の被災3県では経済復興の道半ばです。

ワイン生産は始めてすぐに成果が出るものではありませんが、観光業との相性が良いこともあり、東北以外でも地域活性化事業として注目されています。もとよりワイン生産が盛んな東北地方ですので、より大きな効果が期待されます。

ワイン産業による復興支援については、改めて書く予定です。

まとめ

東北ヴァンダジェの様子をお伝えしつつ、東北のワイン産業について俯瞰してみました。

ヴァンダジェで飲んだワインは本当にすべて美味しくて、新興ワイナリーも応援したくなりますし、東北に行ってワイナリーを巡ってみたくもなりました。といっても、1日で行って帰ってこれる場所ではないので、都内でこのようなイベントをやっていただけるのは実にありがたいです。次回も楽しみにしています。

復興支援事業についても少し触れましたが、取り組みを強化していくには、域外の消費者に東北のワインや活動について認知してもらうことが不可欠です。東北ヴァンダジェのようなイベントがチャネルとなって広まっていけば良いなと思います。微力ながら、私もこのブログで情報発信していきます!

ではまたー

参考リンク

平成29年度 地域の経済2017 目次 – 内閣府

酒類等製造免許の新規取得者名等一覧(平成29年分)(果実酒) | 酒類の免許|国税庁

Comment

タイトルとURLをコピーしました