こんにちは!ミユ(@miyuwinomics)です。
先週末、山梨ワイナリーズフェアに行ってきました!
山梨ワイナリーズフェアは、地理的表示「山梨」のワインを紹介するイベントです。
ここ3年ほど、12月に都内で開催されるのが恒例になっていて、私は毎年参加しています。ワインの試飲だけでなく、山梨の生産者さんと直接お話できる貴重な機会です。
今年は12月8日と9日の2日間、文京区の小石川テラスで開催されました。
地理的表示については、前回日欧EPAの記事で少し触れましたが、今回はおさらいしつつ、イベントをレポートしたいと思います!
地理的表示とは??
地理的表示(GI: Geographical Indications)は、ある産品の品質が、地域で長年培われた伝統的な生産方法や、気候・風土・土壌などの生産地の特性に由来する場合に、その産地を知的財産として登録し、保護する制度です。
主に次のようなメリットがあります。
- 産地名のブランド価値が向上し、他商品との差別化を図れる
- 一定の品質が確保されていることを消費者にアピールできる
- 不正利用は政府が取り締まってくれる
神戸ビーフや夕張メロン、日本酒も地理的表示の登録産品です。何となくイメージが沸きますでしょうか。
牛肉やメロンなどの農産物は農林水産省、酒類は国税庁の管轄ですが、思想はほとんど同じだと思います。
表は、現在国税庁から指定を受けている酒類の地理的表示の一覧です。
種類 | 地理的表示の名称 |
---|---|
清酒 | 日本酒,白山,山形 |
焼酎 | 薩摩,壱岐,球磨,琉球 |
果実酒(ワイン) | 山梨 |
指定産地で生産され、審査を通過すると、ラベルに「地理的表示 〇〇」または「GI 〇〇」と表示できます。
言い換えると、たとえ指定産地の産品であっても、審査をパスしなければ地理的表示を使用してはダメです。
地理的表示「山梨」は、日本で初のワインの地理的表示として2013年7月に国税庁から指定を受けました。基準をクリアしたワインは、ラベルに「GI Yamanashi」と表示します。
以前は「地理的表示「山梨」」と印字されたワインも見かけましたが、今はGI Yamanashiに統一されているようです。
写真は塩山洋酒さんの甲州 雅のラベル。見づらくて申し訳ないですが、下の方に「G.I. Yamanashi」とありますよね。
GI Yamanashiのワインは近所のスーパーではなかなか見つかりませんが、ワインにこだわりのある酒屋さんなどで置いているかもしれません。価格帯は1500円くらいのリーズナブルなものから1万円を超えるものまで、幅広いです。
ヨーロッパのワイン生産国では、フランスのAOCやイタリアのDOCに代表される産地名保護の制度が古くから存在しています。地理的表示「山梨」の指定により、日本でもやっと同等の制度ができたということになります。
なお、前回の記事で書いたように、日欧EPAの発効後は、EUでも日本の酒類の地理的表示が保護されるようになります。
山梨ワイナリーズフェアのレポート
山梨ワイナリーズフェアは、山梨ワイン酒造組合の主催でGI Yamanashiのワインのみが出典されるユニークなワインイベントです。
昨年、一昨年と会場は六本木ヒルズでしたが、今年の会場は、神楽坂近くのレストラン・小石川テラス。
会場の様子はこんな感じ。人の顔が映るのを気にしたせいでいい写真が取れず・・・。
2日間・3部構成で、各部2時間・定員300名の完全入替制です。
私は2日目の最終回に参加。土曜の午後ということもあってか賑わっていました。
チケット(前売6000円、当日7000円)と引き換えに、ワインリストとテイスティンググラス、おつまみチケットをもらって入場します。
参加ワイナリーは20社。各社のブースに計80種類ものGI Yamanashiワインが並び、1種類につき1杯試飲できます。一度飲んだワインはワインリストにチェックされ、2杯目は飲めません。醸造家さんが直々にサービスしてくださるワイナリーもあり、ワインの質問をしながら試飲できます。
ビュッフェスタイルで、山梨県産食材を使った軽食も用意されています。
毎年だいだい同じシステムです。
ちなみに、チケット代は毎回値上がりしています。前売で2015年は4200円、2016年は5000円、今年は6000円です。
昨年までは、試飲する際にワインリストの品種欄にボールペンでチェックを入れられるだけでしたが、今年はグレードアップしていて、各ワイナリーのロゴなどをあしらったスタンプを押してもらうシステムでした。スタンプラリーみたいな気分で思わず集めたくなります。
こんなかんじです。くらむぼんワインさんをコンプリート。
80種類すべてを試飲するのはかなり無茶なので、どれを飲むか、リストとにらめっこしながら選ぶのも楽しいものです。私は21種類をおいしくいただきました。
あっという間の2時間です。
昨年まであった、地理的表示に関するプチセミナーやクイズなどの企画が今回は特になかったので、GI Yamanashiを知らない人にどの程度プロモーションできたのかはわかりませんが、山梨産ワインの美味しさを伝えるのであれば、飲んでもらうのが一番ですよね。
まとめ
地理的表示のような制度があると、私たち消費者も安心して商品を選ぶことができますよね。価格は少し高くなりますが、選択肢が広がるのは良いことです。
GI Yamanashi、見つけたらぜひ飲んでみてください!
日本におけるワインの地理的表示は今は山梨だけですが、今後長野や北海道、山形などの追従も考えられます。
地理的表示が国内の消費者に浸透していけば、生産者にとって品質の良いワインを造るインセンティブにもなり、長期的には業界全体の底上げにも繋がるでしょう。
その点で、山梨ワイナリーズフェアの存在意義は大きいです。
何と言っても、私にとっては年のシメとも言える恒例イベント。
今年は会場が壁一面ガラス貼りの開放的な空間で、昨年や一昨年の薄暗い照明のゴージャスな雰囲気とガラッと変わっていました。ワインの色もよくわかるし、酔った人の顔もよくわかるし、個人的にはワインのイベントは明るいほうが好きです。
毎年パワーアップしてくださることを願っています!
値上げはお手柔らかに・・・。
ではではー
*2021.7.24追記:現在、ワインの地理的表示は山梨のほか、北海道、長野も指定されています。
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