こんにちは!ミユ(@miyuwinomics)です。
6月28日、ワインの地理的表示「北海道」が指定されました!!
パチパチパチパチ〜〜
・・・
で、地理的表示って何??
という方もいらっしゃると思うので、今回は地理的表示制度を紹介しつつ、北海道のワイン産業を俯瞰してみたいと思います。
地理的表示(GI)とは?
地理的表示(GI: Geographical Indications)は、ある産品の特性が産地に帰する場合に、その産地を知的財産として登録し、保護する制度です。
審査を通過した商品は、所定の産地表示をすることができます。地理的表示の登録産品としては、神戸ビーフや夕張メロンが有名です。
生産者側のメリットは、
- 産地名のブランド価値が向上し、他商品との差別化を図れる
- 一定の品質が確保されていることを消費者にアピールできる
- 不正利用は政府が取り締まってくれる
などです。
私たち消費者側のメリットでいうと、商品選択の幅が広がることでしょうか。ただし、制度自体の認知度が高いと言えないのが現状です。
地理的表示「北海道」とは?
地理的表示「北海道」は、北海道内のワイナリーで構成される団体・道産ワイン懇談会の申請に基づき、6月28日に国税庁によって指定されました。
ワインの地理的表示は、2013年に指定された「山梨」以来の2例目。
管理機関のNPO法人ワインクラスター北海道によると、ラベルの表記は「GI Hokkaido」に統一されるそうです。ちなみに山梨は「GI Yamanashi」です。
「GI Hokkaido」の条件
北海道産のワインなら何でもかんでも「GI Hokkaido」と表示できるわけではありません。
- 原料に、北海道内で収穫された特定57品種のぶどうのみを使用していること。
- 北海道内で製造・貯蔵・瓶詰めされた「日本ワイン」であること。
この他にも、ぶどうの糖度や、補糖、補酸などに関する細かい基準があります。すべてを満たし、審査を通過して初めて地理的表示を使用することができます。
北海道におけるワイン生産の特徴
地理的表示に指定されるということは、「その産地だからこそ、ワインの特性が際立つ」ということを意味します。
というわけで、北海道のワイン産地としての歴史や特徴を見てみましょう。
ワイン生産の始まりは明治時代
明治新政府が推進した殖産興業政策の一環で全国にぶどう栽培やワイン生産が奨励され、県をあげて取り組んだのが北海道と山梨県でした。
北海道には開拓使庁直営のぶどう園や醸造所のほか、民間のぶどう酒醸造会社も設立されましたが、大正初期にはどれも姿を消してしまいます。
ワイン産業が再び動き出すきっかけとなったのは、1963年、十勝ワインで有名な池田町ブドウ・ブドウ酒研究所の設立です。1984年には生産者団体「道産ワイン懇談会」が結成し、ワイナリー間の連携が活発化したことで、道内のぶどう栽培やワイン生産技術がぐんぐん発展していきます。
ちなみに、先ほど地理的表示の管理機関として出てきたNPO法人ワインクラスター北海道は、道産ワイン懇談会の事務局でもあり、ワインツーリズムの企画など主に道産ワインのPR面を担っているようです。
地域内で生産者や支援団体のネットワークが独自に発達してきたのは、北海道のワイン産業の特徴の1つです。
ワイン生産に適した気候・風土
もう1つ忘れてはいけないのが、ワイン産地として恵まれた自然条件です。
- 冷涼で、国内のぶどう産地では欧州系白品種の栽培に最も適している
- 4月〜10月(=ぶどうの生育期)の日照時間が長く、日較差が大きいため糖度の高いぶどうができる
- 湿度が低く、降水量が少ないため、ぶどうの病害が発生しにくい
様々な要素が、北海道のワインに特別な付加価値をもたらしているようです。
地理的表示「北海道」の基準や背景については、国税庁のサイトで詳しく説明されていますので、もっと知りたいという方は記事下のリンクからどうぞ。
データで見る北海道のワイン産業
都道府県別シェアは全国3位
図は、2016年における日本ワイン生産量のシェアを都道府県別に表したものです。ブルーが北海道で、シェアは全国3位の15.9%。出荷量のシェアもだいたい同じです。
新しいワイナリーが増加中
2016年の国税庁調査結果データによると、北海道のワイナリー数は長野県と並んで全国2位の34件でした。
総数でいうと1位の山梨県が81件と圧倒的なのですが、今回注目したいのは増加数。
下の図は、2014〜2017年における日本ワイン生産量上位5道県の果実酒製造免許新規取得者数(=新規ワイナリー数)を表したものです。北海道と長野県で顕著に増えているのがわかります。
長野県にちょっと負けてしまっていますが、日本ワインのシェアでも近い位置にいる両者なので、今後の行方が気になるところです。
北海道の主要ぶどう品種
図は、2016年に全国でワイン用に使われた北海道産ぶどうの品種別割合を表したものです。「その他」を挟んで左側が赤ワイン用品種、右側が白ワイン用品種です。
「その他」の内訳が不明ですが、ぱっと見て白ワイン用品種の比率が高いようです。見慣れない品種も多いのではないでしょうか?
北海道のぶどうは、ケルナーやミュラートルガウ、バッカスなど寒冷地に向くドイツ系品種が多いのが特徴です。
それと、赤の山幸は、池田町ブドウ・ブドウ酒研究所が池田町の寒さに耐えうる品種として開発したヤマブドウ系の交配品種です。データを見る限り、北海道だけで造られているのではないかと思います。
*国税庁 国内製造ワインの概況(平成28年度調査分)「参考6. ぶどう品種別受入形態の明細及び主要産地」より。
まとめ
ワイン生産の歴史が古く、恵まれた自然条件を活かしてワイン産地として独自に成長してきた北海道。
正直なところ、地理的表示に指定されたことで、
あっ!!!!!!!
というほどの劇的な変化は起こらないと思います。
しかしながら、各社が「GI Hokkaido」の基準を満たすワインの生産に取り組むとなれば、北海道産ワインの平均的な品質が向上するのは間違いないでしょう。
近い将来、ラベルに「GI Hokkaido」と書かれたワインが出回るのが楽しみですねー
地理的表示の認知度はまだまだ低いと思うので、今後もこのブログで伝えていければと思います。
GI Hokkaidoです!お忘れなく!!!
ワインの地理的表示については、こちらの記事でも書いていますので、あわせてどうぞ!
ではではー
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