日本ワインの輸出について考えてみる2:なぜ少ないのか?編

こんにちは!ミユ(@miyuwinomics)です。

日本ワインの輸出について考えるシリーズ・第2弾です。

第1弾で、「日本から海外へのワインの輸出量は少ない」ということを書きました。

今回は、なぜ少ないのか?について、5つの仮説を立てて考えてみたいと思います。

ちなみに、この記事で出てくる輸出量はワイン全体の輸出量を指します。国産ぶどう100%で造られた「日本ワイン」の輸出量ではありませんので、ご了承ください。

第1弾の記事はこちらからどうぞ。

日本ワインの輸出について考えてみる1:データ編
こんにちは!ミユ(@miyuwinomics)です。 日本ワインの輸出について、何度かに分けて書きたいと思いま...

日本のワイン輸出量はどのくらい少ないのか?

まずはおさらいを兼ねて、輸出量がどれほど少ないのかを確認します。

第1弾で書いたポイントです。

  • ここ数年のワイン輸出量は約200KLで横ばい
  • 直近15年間でワイン輸出数量は減少傾向
  • ビール、日本酒、ウイスキーなど他の酒類の輸出は伸びている

ちなみに、酒類全体の輸出数量のうち、ワインは約0.1%程度とごくわずかです。

少なくともデータからは、海外市場の開拓が進んでいるように見えません。

なぜ少ないのか?5つの仮説を立ててみる

ワインの輸出量が少ない要因として考えられることを挙げてみました。真偽はさておきなので、仮説とします。

  1. ワインの国内生産量が少ない
  2. 日本ワインの単価が高い
  3. 日本ワインの海外認知度が低い
  4. わざわざ日本から輸入する必要がない
  5. 積極的に輸出しようとしていない

これらの5つの仮説について、以下で確認してみます。

仮説1:ワインの国内生産量が少ない →○

これは仮説というか確信に近いですが、輸出量が少ない最大の理由は、生産量が少ないからだと思います。

図は、直近10年間の国内のワイン生産量と消費量を表したものです。赤い折れ線が消費量、青の棒が生産量、オレンジの棒が輸入ワインの出荷量です。

消費量、生産量ともに10年を通して増加してはいますが、消費量(=需要)に比べて生産量(=供給)の増加が少ないのがわかるかと思います。高まるワイン需要を支えているのは、輸入ワインです。

近年の日本ワインブームもあいまって、国内で生産されたワインはほとんど国内で消費されてしまうのでしょう。この状態で輸出を増やすことはできません。

生産量が伸びない点については、原料不足など様々な要因があるので別の機会にまとめられればと思います。

仮説2:日本ワインの単価が高い →△

日本ワインは安くても1500円くらいはします。

輸出されて海外でワインショップに並ぶ頃には、関税やら輸送費やらいろんなコストが上乗せされ、それなりの販売価格になっていることでしょう。

一方、私が行ったことのある他のワイン産地(カナダ、フランス、スペインなど)では、ピンキリですが、数百円程度から自国の産地表示があるワインを買うことができました。

価格競争力の低さは、輸出を妨げる要因の1つになり得ます。

しかし、それが実際にどの程度のインパクトを持つのかは不明なので、△とします。

仮説3:日本ワインの海外認知度が低い →△

日本でワインが生産されていることを知っている人は、海外にどのくらいいるでしょうか。

国内ですら、やっと日本ワインが認知されてきたかなぁ・・という感覚です。

しかーし!

最近は、国際的なワインコンクールで日本ワインが受賞する事例が増えているので、世界のワイン通やワイン関係のプロフェッショナルたちにも日本ワインが知られるようになってきていると思います。

ワインを扱うプロの方々に品質の高さを知ってもらえていることは、強みになると思います。

というわけで、間を取って△です。

仮説4:わざわざ日本から輸入する必要がない →○

ワインは世界中で生産されています。単にワインが必要なら、わざわざ海を越えて日本から輸入しなくても、自国や近隣国のワインで事足りるでしょう。

この点、代わりがきかない日本酒焼酎に比べると不利になるかと思います。

もっとも、酒類の輸出量で圧倒的多数を占めるのはビールなんですけどね・・。

今後、日本ワインのブランド価値がますます高まって、「わざわざ海を越えてでも輸入したい」という人たちが増えていくことに期待しています。

仮説5:そもそも積極的に輸出しようとしていない →○

これは、私が大学の卒業研究で甲州ワインの輸出について調べていた際に、とある生産者さんからお聞きした点です。

といっても、生産者が輸出に対して否定的という意味ではなく、まずは国内に日本ワインを普及することが第1優先だということです。

当時の私は「輸出を増やすにはどうすればいいのか?」ということばかりを考えていたので、ハッとさせられたことを覚えています。

まだまだ国内には日本ワインの市場を拡大できる可能性があります。現時点で輸出に力を入れている生産者もいますが、多くの生産者にとって、海外に目を向けるのはまだ先の段階になるでしょう。

まとめ

今回は、日本のワイン輸出量が少ない要因について考えてみました。

まとめると、

  • 生産量が少ないので輸出拡大は難しい
  • 日本ワインは価格が高くても品質の高さが強みになる
  • 今は国内への普及が最優先

といったところかなと思います。

第3弾では、輸出拡大の取り組みなどについてまとめたいと思います。

ではではー

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