こんにちは!ミユ(@miyuwinomics)です。
先日国税庁のサイトで「国内製造ワインの概況(平成29年度調査分)」が公表されました。
「国内製造ワインの概況」は、国税庁が国内の果実酒製造業者に対して年1回実施する果実酒製造業者実態調査の結果資料です。例年調査翌年の年末に公表されるのですが、今回はだいぶ待ちました。
というわけで、早速、調査結果をサマリーしました。
はじめに:データに関する注意点
日本ワインの生産量、出荷量、輸入量はあくまでアンケート調査の集計結果です。毎年まったく同じ業者が回答しているとは限らないので、年度により多少のブレがあることにご注意ください。
ちなみに、平成29年度調査分の回答数は、対象285者中247者。未回答38者の数値は統計に反映されていません。
日本ワインの生産量・出荷量・輸出量の変化
日本ワインの生産量、出荷量、輸出量について、調査が開始した2015年以降のデータをグラフにしました。
2016年度に比べると、生産量はプラス、出荷量はマイナス、輸出量はわずかにプラスでした。
傾向は・・・よくわかりません。
ちなみに日本ワイン以外の国産ワインの生産量は、69,662KL。国産ワイン全体に占める日本ワインの割合は20.2%となり、調査開始以来初めて20%台になりました。
※2020.2.25更新:2016年度の日本ワイン出荷量について、グラフで15,849KLと表していましたが、2017年度の調査結果で15,367KLに更新されていたので、訂正しました。誤った情報を掲載してしまい、申し訳ありません。
国内ワイン市場におけるシェア
ワイン市場全体ではどうかというと、国税庁の推計では図のとおり日本ワインのシェアは4.1%でした。
2016年度の4.8%から0.7%のマイナスです。
今後EPAの影響で輸入ワインの増加が見込まれるので、シェアは伸び悩むのではないかと思います。
国内のワイナリー数の変化
表は、2015年度以降のワイナリー数をまとめたものです。
ここでいう「ワイナリー数」は、調査年度においてワインの生産または出荷の実績がある果実酒製造場の数を指します。免許を持っているだけのワイナリーは対象外です。「うち日本ワイン」は日本ワインを生産しているワイナリー数で、今年から結果に追加されました。
年度 | ワイナリー数 | うち日本ワイン |
---|---|---|
2015 | 280 | ー |
2016 | 283 | ー |
2017 | 303 | 226 |
2016年度から20件も増加しました。別の資料で確認したところ、2018年の果実酒製造免許新規取得者数は、なんと31者*1。次回の調査結果ではこれら新規ワイナリーの数字が反映されてきます。
果実酒製造免許の取得条件を緩和する特区制度の活用などにより、ワイナリー数は今後も増えていくことが予想されます。
生産量にも反映されるのか??
楽しみですねー
*1 国税庁 酒類等製造免許の新規取得者名等一覧を集計。試験免許は除く。
都道府県別ランキング
続いて、都道府県別の日本ワイン生産量ベスト10をチェック。「ワイナリー数」は、上に出てきた日本ワインを生産しているワイナリーの数です。
順位 | 都道府県名 | 生産量(kl) | 前年比 | ワイナリー数 |
---|---|---|---|---|
1 | 山梨県 | 5,530 | +0.4% | 57 |
2 | 長野県 | 4,072 | +9.5% | 32 |
3 | 北海道 | 2,933 | +17.6% | 28 |
4 | 山形県 | 1,195 | -0.4% | 13 |
5 | 岩手県 | 542 | -9.7% | 7 |
6 | 新潟県 | 391 | -15.2% | 8 |
7 | 岡山県 | 380 | +11.1% | 7 |
8 | 宮崎県 | 353 | +5.1% | 3 |
9 | 島根県 | 266 | +11.3% | 3 |
10 | 兵庫県 | 262 | 前年非公開 | 2 |
実は順位は2016年度とまったく同じなのですが、多くの地域で前年比マイナスからプラスに転じています。生産量の増加は長野県、北海道の寄与度が大きそうですね。
また、少ないワイナリー数で数字を伸ばす宮崎県、島根県にも注目です。
ぶどう品種別ランキング
今回も最後は、ぶどう品種別受入数量(=ワインの原料として受け入れられた国産生ぶどうの数量)のランキングです。
こちらも2016年度とほとんど同じランキングだったので、今年はベスト10にパワーアップしてさらっと紹介します。
順位 | 白ワイン用品種 | 赤ワイン用品種 |
---|---|---|
1 | 甲州 | マスカット・ベーリーA |
2 | ナイアガラ | コンコード |
3 | デラウェア | メルロ |
4 | シャルドネ | キャンベルアーリー |
5 | ケルナー | 巨峰 |
6 | セイベル9110 | カベルネ・ソーヴィニヨン |
7 | 竜眼(善光寺) | ブラック・クイーン |
8 | ソーヴィニヨン・ブラン | ヤマソービニオン |
9 | ポートランド | ツヴァイゲルト |
10 | ミュラートゥルガウ | ピノ・ノワール |
ピノ・ノワールがランクイン!
ぶどう品種については、別の機会にまとめたいと思います。
まとめ
いかがでしたか?
2017年度のトレンドをまとめると、
- 国産ワインに占める日本ワインの割合が20%台に!
- ワイナリー数が20件増加!
- 日本ワインは生産量と輸出量が増加、出荷量は減少
- 長野県、北海道が生産量増加に寄与
というところでしょうか。
引き続き、データが蓄積されていくのを見守りたいと思います。
「国内製造ワインの概況」では、今回取り上げた項目以外にも色々なデータが確認できますので、もっと知りたい!という方は下の参考リンクからどうぞ。
前回(平成28年度調査分)のまとめ記事もぜひ。今回の記事と比べやすいように、内容を少し見直しました。
ではではー
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